プログラム
チュートリアル Part1
チュートリアル Part1
「映像化技術編」
8月5日(月) 10:40-12:10
「最新の医用イメージングにおける画像再構成法の紹介」
工藤 博幸(筑波大学システム情報系情報工学域/東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター[SRIS])
抄録:
医用画像ハンドブック増補版の「画像再構成」部分を伊藤聡志先生(宇都宮大学),橋本二三生氏(浜松ホトニクス),工藤の3名で分担して執筆した.その構成は大きく,1) ハンドブック2012年版への増補項目(順投影の計算方法, デュアルエナジーCT・フォトンカウンティングCTの画像再構成, CTアーティファクトの補正, PET・SPECTアーティファクトの補正),2) 圧縮センシング画像再構成法(CT, MRI),3) 深層学習画像再構成法(CT, MRI, PET)のようになっており,魅力的なものに仕上がったと考えている.本発表では,3名を代表して工藤がその内容の一旦を紹介する.
「MRIの最近の技術的発展」
寺田 康彦(筑波大学数理物質系物理工学域)
抄録:
MRI(核磁気共鳴イメージング)は,核磁気共鳴現象を利用して,物体内部の構造を計測する方法で,1973年にLauterburによって提案されて以来,人体用MRI装置を中心に目覚ましい技術的発展を遂げている.本稿では,本学会(JAMIT)出版予定の「医用画像工学ハンドブック増補版」において,MRIに関して新しく追加した内容を中心に,MRIの最近の技術的発展に関して紹介する. まず,MRIは他のモダリティと比べて撮像時間が長いことが課題の一つであるが,MRIの撮像を高速化する方法として,パラレルイメージングやnon-Cartesianイメージングについて紹介する.また,対象の物体や組織に由来する物性値を直接画像化する,定量画像法を紹介する.定量画像は,画像診断の標準化や精密医療に不可欠な定量バイオイメージングマーカーとして期待されている.その他のコントラストとして,骨中などの固体状態に近いプロトンを画像化する手法などを紹介する.また,MRI特有のアーチファクトに関しても紹介する.
「核医学装置ー10年間の進歩」
田島 英朗(量子科学技術研究開発機構)
抄録:
PET,SPECTに代表される核医学装置はこの10年で大きく進歩した.SPECTでは,直接変換型の半導体検出器を用いた全身装置が登場し,エネルギー分解能を始めとして様々な性能が向上した.PETでは,シンチレーション検出器の受光素子がSiPMに置き換えられていき,大幅な時間分解能向上がなされた.SiPMは小型かつ磁場中での動作が可能であるため,PET-MR装置の開発も活発に行われた.臨床用PETとしては,1メートルを超える体軸視野の装置が登場し超高感度全身同時撮像を実現する一方で,半球状の検出器配置を持つヘルメットPETのように,特定部位に特化することで原理的に高感度のみならず高分解能達成可能な部位別PET装置が実用化された.また,対向型PET装置のように特定用途に特化したものも乳房専用装置として商品化されている.そして,多様化する装置に対応するため,性能評価法も現状に合わせてアップデートされてきた.本講演では,これらの技術,装置の進歩を包括的に紹介する.
「X線イメージングと放射線治療用イメージングの概要」
⾅井 桂介(順天堂大学保健医療学部診療放射線学科)
抄録:
本シンポジウムでは,X線イメージング(フォトンカウンティング検出器,X線撮影装置,X線CT装置)および放射線治療用イメージングの項での掲載内容を概説する.フォトンカウンティング検出器は林裕晃先生がご執筆され,その原理と課題および物質弁別の可能性に関して解説している.X線撮影装置は五味勉先生,水上慎也先生がご執筆され,仮想グリッド,X線動態撮影およびフォトンカウンティングを含むデジタルトモシンセシス(主に乳腺検査領域)を概説している.X線CT装置は田口克行先生がご執筆され,デュアルエナジーとフォトンカウンティングCT技術に関する原理と臨床応用を示されている.放射線治療用イメージングは講演者が執筆担当し,画像誘導放射線治療法で実用されているイメージング機器の概要と臨床利用を説明している.