第43回日本医用画像工学会大会
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シンポジウム 2

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シンポジウム 2

「AI時代のレギュラトリーサイエンス」

8月6日(火) 14:30-16:30

現在,診断支援や治療支援のためのさまざまな医療機器プログラム(Software as aMedical Device:SaMD)が,実用化のフェーズを迎えています.このシンポジウムでは,最近のAI の特性を踏まえたSaMDに対するレギュラトリーサイエンス(規制科学)に注目します.第一線でご活躍のエキスパートの方々を迎え,SaMDを実用化する際の種々の問題に関して,パネル討論を含むシンポジウムを開催します.診断支援や治療支援のためのSaMD の実用化を考えている多くの方々のご参加をお待ちしております.


基調講演「医療ICTシステムの課題と将来展望」

村山 雄一(東京慈恵会医科大学 脳神経外科)

抄録:

2014 年「国民が受ける医療の質の向上のための医療機器の研究開発及び普及の促進に関する「基本計画」が策定され,医療機器開発の方向性が示された.近年は,IT AI技術を活用したプログラム医療機器,いわゆるSoftware as a Medical Device(SaMD)への期待は大きい.例えば脳卒中治療では早期治療トリアージを進めることで寝たきり患者を減らし,患者の社会復帰を促進する様な医療ICTシステムに適切な保険点数を付与することで,最終的には医療費の削減,日本の生産性を高めることにつながる可能性がある.しかしながら保険償還の適正化と個人情報保護の問題が課題となっている.本講演では脳卒中領域を中心にSaMDの現状と将来展望について報告する.


「国内におけるプログラム医療機器の審査について」

江面 崇智(独立行政法人医薬品医療機器総合機構プログラム医療機器審査室)

抄録:

医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という.)における医療機器とは,「人若しくは動物の疾病の診断,治療若しくは予防に使用されること,又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって,政令で定めるもの(第2条第4項)」に該当するものであり,その製品が医療機器の定義に該当する場合,薬機法の規制を受けることになる.また,その中でも実質的にソフトウェアの形態で流通されるものをプログラム医療機器といい,平成26年の薬事法改正以降,薬機法の規制対象として取り扱われている.
本講演では,国内におけるプログラム医療機器の規制の概要及び審査の現状を説明するとともに,今後更にプログラム医療機器の開発が活発になることが予想される中で,規制側から見て開発者に留意していただきたいポイントについて,実例を踏まえて概説する.また,新しいプログラム医療機器を早く現場に届けるために設けられている行政の様々な施策についても概説する.


「プログラム医療機器に関する最近の規制動向」

水谷 玲子(厚生労働省医薬局医療機器審査管理課プログラム医療機器審査管理室)

抄録:

医療機器は,「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」によりその製造・販売等が規制されている.平成26年からは,疾病の診断・治療等を目的とした単体プログラム(ソフトウェア)についても医療機器としての規制対象となり,多くのプログラム医療機器が開発,製造販売承認等されている.
厚生労働省では,プログラム医療機器の更なる実用化促進及び日本発プログラム医療機器の研究開発の加速と国際展開の推進を図るため,令和5年9月に経済産業省と連名で「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略2(通称:「DASH for SaMD2」)」を公表.萌芽的シーズの早期把握と審査の考え方の公表,プログラム医療機器の特性を踏まえた実用化促進,早期実用化のための体制強化等,様々な取組を行っている.
本講演では,プログラム医療機器に関する最近の規制動向について紹介する.


「日本が医療AI先進国になるためにできること」

島原 佑基(医療AI推進機構)

抄録:

この10年間でAIは日常生活に不可欠な存在となり,医療分野も例外ではない.2019年には我が国で初めて深層学習を用いた医療機器が承認されて以降,医療AIの臨床利用が進んでいる.特に医療画像関連のAIは,黎明期を超え普及期に入っている.我が国は医用画像の多さと専門医の不足があり,AI開発に適した環境だが,韓国や米国に比べて遅れがある.この遅れの一因はデータの利活用であり,韓国では国が主導してデータ整備を行い,ガイドラインを整備してスタートアップへ提供していることからも明らかである.当機構では,データ利活用促進を柱に様々な取り組みを行っており,本講演では我が国のマクロな課題とその解決策について,当機構のミクロな取り組みを含めて説明する.


「大腸内視鏡AIの開発から保険償還獲得の経験」

三澤 将史(昭和大学横浜市北部病院消化器センター)

抄録:

大腸内視鏡支援プログラム医療機器EndoBRAINは,昭和大学・名古屋大学・サイバネットシステム株式会社との医工産連携研究の成果として本邦初のAIを活用したSaMDとして薬機法承認を取得した.現時点ではCADe,CADxの5製品が薬機法承認を取得済みで,オリンパス株式会社の販売チャネルで市販されている.EndoBRAINのようなCADはその臨床有用性から早期に普及し,診療レベルの均てん化が期待されたが,普及率は期待ほど高くなかった.そこで,EndoBRAINを使用することに対するインセンティブとして診療報酬加算を付与することができないか,2020年より日本消化器内視鏡学会とも協力し活動を続けてきた.2024年度の診療報酬改定において,EndoBRAIN-EYEというCADe製品の使用に対する診療報酬加算が設定されるに至り,今後の普及と診療レベルの均てん化が期待される.本発表では診療報酬加算設定までの過程と経験した課題について共有したい.

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